マイナンバーカードと健康保険証の比較
2023年12月、現行の健康保険証を2024年12月2日に廃止することを盛り込んだ政令を閣議決定した。
保険証の新規発行をやめ、マイナンバーカードと健康保険証が一体となった「マイナ保険証」への移行を促すことになった。
•①、③によって、病院の窓口で、問診票を書く手間が省けたり、過去に処方された既往症の薬の情報などが確認できたりするのは、患者にとって良質な医療を受ける上で重要だ。
•②についても、入院やがん治療など高額な医療を受ける場合、事前に、限度額適用認定証を提示する必要がなく、支払いが高額療養費の限度額までになる。
•しかし、マイナ保険証でなくとも、すでにこの恩恵を受けている人は少なくない。2021年10月から、一部の医療機関や薬局などに「オンライン資格確認システム」が導入されているからである。これは、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号などによって、オンラインで資格情報の確認ができるというシステムだ。
メリット
メリット③の医療費控除については、医療費の領収証を管理・保管しなくてもマイナポータルで医療費通知情報が管理できて、マイナポータルとe-Taxを連携することでデータを自動入力できる。しかし自由診療や先進医療、ドラッグストアで購入した薬剤費、公共交通機関を利用した通院のための交通費は別途となる。手入力しなければならないので、面倒な部分も残る。さらに医療費控除は、家族の医療費も合算して申告するケースが多いため、申告者が、家族全員分のマイナンバーカードを預かり、パスワードも教えてもらう必要がある。秘密漏洩もあるから、どうなのかと言う点が指摘できる。これらも含めて使用者としては案外骨の折れる作業となりそうだ
デメリット
•健康保険証に記載されている事業者名が分からない点である。つまり保険者である。
•保険者とは、健康保険事業の運営主体のことを指す。保険者は、加入者の職業などによって異なる。例えば中小企業が契約している。
•健康保険は「全国健康保険協会」と「健康保険組合」の2種類がある。前者は、いわゆる「協会けんぽ」と呼ばれ、おもに中小企業に勤務する会社員やその家族を被保険者とする。後者は、単一の企業で設立する組合、同種同業の企業が合同で設立する組合などがあり、いわゆる「組合健保」と呼ばれている。おもに大企業に勤務する会社員やその家族などを被保険者とする。なお、公務員なら「共済組合」がある。
•つまり、現行の健康保険証を見ると、保険者が確認でき、その患者が入院や手術、治療を受けた場合の医療費を軽減させる公的制度の有無がわかる。
•とくに、保険者が共済組合(公務員)や組合健保(大企業など)の場合、健康保険法で定められた保険給付(法定給付)に加え、任意で一定の上乗せ給付である「付加給付」を行っているところも少なくない。
このシステムだとそれが出来ないのだ。
まとめ
•2024年9月23日現時点では、使用者におけるマイナ保険証にメリットはあるものの数カ月に1回、体調が悪くなったときに病院に行く程度の人が、健康保険証を廃止してまでも、マイナ保険証を使いたいという、インセンティブにはなりにくいと考えられる。
•今後は患者側が使いたいと思うインセンティブや動機付けを行わないと国の思っている結果は出にくいであろう。
「付加給付」の存在
•付加給付の内容は、組合健保によってさまざま。患者の保険証を見ると組合健保の名称がわかり、パソコンやスマホで検索して直接確認することもできる。いくら医療費が高額でも、この付加給付があれば大幅に負担が軽減できる。一般の人は病気になるまで付加給付の存在を認識している人はほぼ居ない。
•例えば付加給付は、高額療養費付加給付のほか、差額ベッド代や長期入院に対する給付、傷病手当金や出産手当金に対する上乗せなど、さまざまな手厚い給付がある組合健保もある。
•付加給付の内容を認識していれば、民間医療保険への加入の必要もなく、ムダな保険料を払わずに済むだろう。組合健保の場合は手続きを保険者側がやってくれるか、向こうから連絡が来るので、ただ待っていれば良いだけだからだ。でも知らないと使用者にとっては損してしまう可能性も否定できないと考える
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